キャメロン展・Store1894/特設ショップもあとわずか!
皆さまこんにちは。
本日はStore1894についてご紹介いたします。
ストアは鑑賞券なしで、いつでも自由にお買い物をお楽しみ頂けます。
ところで、キャメロン展ではストアがギャラリー仕様に変身していたことにお気づきでしょうか?
今回のショップ展開には、ブックショップ「POST」の中島佑介さんにご協力頂いています。
今回は閉幕前に改めて、中島さんにお話を伺いました。
キャメロン展仕様のストアも期間限定で、キャメロン展の終了とともに消えてしまいますので、
気になった方は最後にもう一度ご来店ください!
―今回のストアのコンセプトを教えてください。
ジュリア・マーガレット・キャメロンという、ビクトリアリズムの作家のミュージアムショップでは、
「写真を持ち帰ることができる」あるいは、「芸術写真に触れる機会としてミュージアムショップ」
として機能させたいというお話があり、具体的にどのようなものが良いか考えました。
その中で重視したのは、写真集です。といっても、ただの図版ということではなくて、アートブックとして
魅力のあるものを扱いたいと考えました。さらに「写真を購入して飾る」という価値観をご提案できないかと。
キャメロンやビクトリアリズムと親和性のある作品をギャラリーからお借りして、
実際に販売する機会を設けたことが大きな2つの構成になっています。
―具体的にはどのような写真集をセレクトしたのですか?
キャメロンという作家を軸にして、彼女と関連性のある作家や、キャメロンから影響を受けた作家の写真集を
取扱いたいという想いがありましたので、写真史家の金子隆一さんに監修に入って頂き、その助言に基づいて
選択を行っていきました。新刊・古書問わずセレクトしています。価格帯もさまざまです。
普段は入手困難な商品もあります。
イギリスのビクトリアリズムが、日本の写真にとても影響を与えているという事を金子さんから伺いました。
イギリスのビクトリアリズムの文化が日本に紹介されたことをきっかけに、日本に芸術写真というものが広がった
というお話から、日本とイギリスの関係性も写真集をきっかけに知って頂ければと、和書もセレクトしています。
―販売されている写真が高いので驚きました!
販売している写真は、写真芸術協会に所属しているギャラリーにご協力頂き、キャメロンやビクトリアリズムの写真を
お借りして販売しています。美術館ですと美術・鑑賞品として写真を見ますが、今回はその作品が購入できるものである
という気づきの体験をして頂けるよう、作品の横に金額を大きく表示しています。
また作家の背景が解らないと、購入しようという事にもならないかと思いますので、
すべての商品説明を店内に設置しています。
―写真に興味を持つのにおすすめの商品を教えてください。
やはり最初は写真集を通じて興味を持ってもらうのがいいのではないかと思います。
V&Aで開催したキャメロン展の図録がMACKというイギリスの出版社から出ているのですが、デザイン性も大変高く、
そちらも販売しています。最初のきっかけになるものは、知識などなくても「あ、これおもしろい」と思ったものを、
手に取って頂ければと思います。もちろんポストカードでもよいと思います。写真というものに価格がつき販売していて、持ち帰り、生活の中に取り入れられるものだという事に気が付いてもらえれば良いな、と思っています。
―もっと作品を見たいと思った場合は、ギャラリーの紹介もして頂けるのですか?
はい、今回ご協力頂いているギャラリーを紹介致しますので、そちらを訪ねて頂く事も可能です。
今回はヴィンテージプリントが多いので値段が高めですが、もっと安い価格帯のものもありますので、
気軽に訪ねて頂ければと思います。興味を持った作家に対しては、ギャラリーの方も丁寧に教えてくださいますよ。
―キャメロン展の感想をお聞かせください。
キャメロンについては知ってはいましたが、実際のプリントを見たことはなかったので、
今回の展覧会はとても貴重なものでした。印刷物では伝わらない良さがあるなぁ、と思いました。
写真は2次元的な芸術ので、写真集を見ることで満足してしまうことが多いと思うんです。
ほかの絵画や彫刻といった芸術に比べて。
ただ写真も実際のプリントでしかわからないこともたくさんあるので、オリジナルをみる必要があるな、と。
ジュリア・マーガレット・キャメロン《ベアトリーチェ》1866年
ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館蔵
©Victoria and Albert Museum, London
キャメロンについて言えば、光で絵を書いていた人だと。光で絵を書くことを始めた最初の女性作家なのではないか
という感じがしました。また写真は、被写体との距離感や関係性が現れてしまうので、キャメロンと彼女の被写体の
関係性も表れているように感じました。「これがこうだから」この写真が良い。という明確な理由づけがしにくい、
言葉にしにくい感覚が、写真に定着されているのではないでしょうか。
―キャメロンの写真が絵画だと思ったとのお声も頂きました。記録写真と比較すると違うものでしょうか?
違うと思います。
特に技法としてブラしてみたり、ただ現実を正確に記録するという事をしていた作家ではないと解りますね。
この秋は国内でも写真の良い展覧会がたくさんありますので、キャメロンと比べてみても面白のではないでしょうか。TOP MUSEUMの杉本博司さんの展覧会、国立近代美術館のトーマス・ルフ展、原美術館の篠山紀信さんの写真展も
大変評判がいいと聞いています。
写真は複製の技術であると思われているので、オリジナルのプリントに対する価値を見出すことが難しくあるのですが、
そうではないというところを理解すると見え方も変わってくると思います。
ただ、この数年で写真が芸術の一つであると認識されている方が増えているように感じます。
それは世界的な写真ブームもあると思いますが、テートモダンについているキュレーターが日本の写真を集めたり、
美術館で行っている継続した活動も実を結んでいると思います。写真がコレクションになるという事自体が、
最初は価値観になかったので、V&Aが写真をコレクションとして収蔵したことは画期的なことだったと思います。
―最後にメッセージをお願いします。
今回のショップは、美術館の感覚をそのまま持って帰れる店内になっています。
ぜひ美術館の体験をきっかけに、ご自身の生活の中に広げていって頂ければと思います。
―中島さん有難うございました!
ご興味を持たれた方は、中島さんが運営されている恵比寿にあるブックショップ「POST」
にもぜひ足を運んでみてください!